契約解除・解雇

 日本と香港の試用期間の「契約解除」や「推定解雇(Constructive Dismissal)」と聞いたことのない名称、契約解除、解雇、を下記に案内いたしますので、参考にしてください。

◎ 「試用期間中の契約解除」

 日本では、試用期間中でも入社して14日を超えている場合は、労働基準法上の解雇予告の手続きが必要です

 A、試用期間であることが明確に合意されている場合は、次の条件で契約を解除することが可能。
(1)試用期間最初の1ヶ月以内:労使双方即日解除が可能(解除予告期間不要)
(2)試用期間2ヶ月目以降満了まで:労使双方7日以上の予告期間を与えることにより解除可能
 また予告をする代わりに、解除予告手当(予告期間の賃金相当)を相手方に支払うことにより、労使双方即日解除が可能です。


香港における雇用保護規定である「推定解雇」についてご案内します。

 日本で該当するのは「解雇権濫用の法理」。 解雇が、法律に違反せず、労働協約、就業規則に反しないとしても、解雇権の濫用にあたる解雇は許されない。

◎推定解雇(Constructive Dismissal)

 雇用契約の根幹を成す重要な労働条件は賃金・職務・就業場所の3項目といわれています。
 使用者が、これらの労働条件を従業員の同意なしに、かつ容認する旨の雇用契約上の明示条項なしに、一方的に従業員にとって不利なものに変更した場合、従業員に新しい労働条件が施行される前に、従業員はその雇用契約を即時に解除する権利が与えられることがあります。
 従業員側からの雇用契約解除(自己都合退職)であるにもかかわらず、会社都合解雇として扱われることになります。 これが「推定解雇」と呼ばれている雇用保護です。

雇用条例第VIA節「雇用保護

 会社側による労働条件の変更は、正当な理由が明示されない限り、従業員に与えられた、または与えられるべき権利・恩恵・保護を消滅または減少する意思をもつ変更であるとみなされ、従業員は救済を求めることが可能であると規定されています。

 通常、従業員側からの雇用契約解除時には、解雇補償(解雇補償金など)の受給権利はありませんが、「推定解雇」が認められた場合、会社には解雇補償義務が発生します。
なお、「推定解雇」に当たるか否かの決定は最終的には司法判断(労使調停ではなく裁判)に委ねられることになります。

◎ 香港では労働条件変更には、下記の内容を注意しています。

 日本では、雇用条件の改悪変更は原則違法になります、ご注意ください。

●労働条件を変更すること自体は違法ではありません。
・使用者側による賃下げ・降格
・ダブルペイ制度の廃止
・各種手当の削減
・香港内で就業場所の変更、中国大陸への出向命令

●使用者が労働条件の改悪変更を行なう場合の留意点
・従業員が離職する可能性がある
・従業員は推定解雇を主張することが可能である
・離職により、会社都合解雇として解雇補償を支払う可能性がある